■ Eternal Wind ■



そこにあったのは 平和
誰もが幸福に満ちた楽園
しかし ある一人の者の心が闇を生み やがて一族を飲み込んだ
闇の力は止まる所を知らず 時を経て世界を蝕んで行った
世界と魂をともにする 神をも傷つけた
そして
神をその闇は滅ぼした
後に残ったのは神を失った荒廃した大地
されど 神の愛は 全ての命有るモノに注がれた
例えその身が滅ぼされても 心 変わる事はなかったのだ
大地に残されし愛し子を 哀れに思った神は 自らの力を穢れなき一人の者へと分け与えた
その者は神の大いなる力で 世界を育んだ

新たな世界はこうして生まれた

神に力を与えられし者 一つの国を創り 言葉を残した
「遥かなる太古の昔 滅びし世界の神秘なる力を 我 ここに伝えん
 千年のたび 我 甦り 創造の力を動かす
 されど 力は<陰>と<陽>に分かる
 我が血を受け継ぎし これを語り聞く者よ
 心して伝え この力は <陰>にして<陽> <陽>にして<陰>
 全てを育む光なれど ともに 全てを滅す光でもある
 いかなる時も心に刻み入れよ
 決して この光を 闇に渡してはならぬ
 もし この光 闇に落ちし時 闇がこの世界を覆いし時は 全てが闇に帰す
 さすれば 神の力は効をなさん    

神の血を受け継ぐ者達は その言葉を深く刻み込み 世界を見守り続けた
静かな平和が 世界にはあった
いつ終わるとも果てない時を繰り返しながら それでも 時は確かに流れて行った
いつしか 人々は 変革を望むようになっていた
幾つもの国が争い 滅んで行く
数百年にわたった戦争は やがて終焉を迎える 新たに生れ落ちた 神の力を持つ子によって
しかし
人々の心の闇はおさまる事を知らない
再び世界が闇に 晒される日は近いだろう
それでも 地に住む者達を 神は 見守ってくれていた
我々を 遠き遥かなる 永遠の輪の中で
神の愛は 永遠に
その力の薄れる その日まで
真の平和が大地に宿る その日まで
永遠に終わらぬ時の輪の中で ただ、独り 祈りつづける


永遠に、永遠に、永遠に      絶える事なく


Eternal Wind    登場人物紹介
序章 : 深遠の入り口を開く者         1  2  3
1章 : 帰って来た皇女         1  2  3
2章 : 別れと真実、甦る全ての禍事         1  2  3  4  5  6  7
3章 : セツとラフェルの関連性について       1  2  3  4  5  6
4章 : 成す者          1  2  3  4  5  6



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