遥かなる太古の昔、この地上は“科学”と呼ばれる力によって人々は支配されていた。
今はもう、夢物語にしか語られる事のないその力は、全てのモノに存在し、また、全てのモノから消え失せたという。
科学の時代と呼ばれた当時の世界はまた、“科学”の力によって滅んだとも伝えられている。
“科学”が失われた後に発展した、神力(カムイ)の時代。
それは“神”の力による復活の時代。
人が人として生きていけるようになった時、“神”はその役目を変え、この時代は終わりを告げた。
今から数千年前の話である。
そうして今は、魔学(マガク)と呼ばれる時代。
“神”によって与えられた“科学”に変わる新たなる力、
魔方(まほう)や魔然(まぜん)と呼ばれる力が溢れている世界。
科学の時代には人々には受け入れて貰えなかった不思議の力、それが当たり前に存在する、そんな世界。
時の流れとともに呼び名を変える時代においても決してその名を違える事のなかったこの星は、
今なお宇宙に青く美しい宝石のように見事な輝きを放ち続けている。
この星の名は、地球。
今、人の想いに呼応するかのようにして星が震え始めた。かつて“科学”の時代が滅びを迎えた時のように。
終末の滅亡、その前兆であるが如くに…
。
−了−
■小説目次
■HOME